教育シリーズ⑤「アメリカのSTEM(ステム)教育の現状」

教育シリーズ第5回目は「アメリカのSTEM(ステム)教育の現状」についてです。

(指図は省略。以下はJweekly 2/20/2020に掲載されたコラムです。詳細はこちらをご参照ください:https://jweeklyusa.com/6984/columns/insurance/

【STEM/STREAM教育って?】

最近日本でも耳にするようになってきたSTEM(ステム)教育。聞いてはいたけど、アメリカに来てからはもっと聞くようになってきたり身近に感じてきた、という方も多いでしょう。STEM教育は、子どものうちからロボットやIT技術に触れて「自分で学ぶ力」を養う新しい時代の教育方法といわれています。

ここシリコンバレー地区はSTEM教育が最も進んだ地域の一つといえます。アメリカの学校では昨今STEMだけでなく、STEAM, STREAMと呼ばれることもあり、オバマ大統領の就任後に本格化し始めました。頭文字から何を表しているかが分かります。

(指図省略)

 S Science(科学)
 T Technology (技術)
(R) Robotics(ロボット技術)
 E Engineering (工学)
(A) Art (芸術)
 M Mathematics (算数・数学)

一方日本では文部科学省が2016年4月に「小学校でのプログラミング授業の必修化を検討する」と発表しましたが、現状としては実際の導入にまだまだ時間がかかっているようです。STEM教育を受けた主要国の人数を比較しても、中国・インド・米国の水準には未だ日本は到達していません。世界的にみてもSTEM教育への注目は続いており、特にIT技術が進んでいる地域では必須で就業率や賃金の差にも関わってきます。米商務省からも「STEM教育を受けた者は受けていない者よりも需要が高く、勤務での高給が見込まれる」とまで発表されているほど。そうなるとこの教育を子供に受けさせるために親は必死に「STEM教育提供の場」を探すわけです。毎日通っている幼稚園、小中高等学校でどの程度のSTEM教育が含まれているかによっても学校選び=居住区選びに拍車がかかります。そこに関わるのがもちろん学校ごとの運用予算。その予算を賄うのは各家庭からの寄付金が主体になっている地域が多いため、予算(経費)が賄えない学校にはSTEM授業がない、パソコンも生徒一人一人にはいきわたらない、という現象がおきます。

【Hands-on教育の実態】

しかし、STEM教育の問題点としてあげられているのが教育者の育成です。アップル、グーグル、フェイスブックなど、どんなにIT大手企業が集まっているベイエリアでも、子供達に教えられる適格な技術をもつ教育者が不足している現状がここ数年ずっと問題視されています。カリフォルニア州が毎年決めるK-12(公立学校の12年制度)教育予算からも多額の予算がSTEM教育に割り当てられ、その中には教育者の雇用、コーディネーター育成にも多く充てられているにも関わらず、地域によるSTEM教育レベルの格差はなかなか縮まってはいないようです。学校でもField Trip(遠足、課外授業)やAfter school program(放課後クラブ、学童保育のイメージで、別料金で民間会社が学校の敷地を借りてクラスを行っている場合が多い)で“Hands-on activity”としてSTEM教育を提供している機会が多いのですが、そのカリキュラムは千差万別で、教える側の育成が今後の課題として残っているようです。
(注:Hands-onは実際に手で触れられたり実体験したり、という身体を使って実体験をする活動としてアメリカで良く使われている言葉です)

夏休みのような少し長めの休暇には「STEMキャンプ」も大人気です。今後のコラムにも書いていきますが、年明けから既に夏休みのキャンプの申し込みが始まり、早期申込み割引きを狙っての争奪戦となる時期ですね。今年の夏はSTEM教育のHands-onアクティビティを親子で体験してみてはいかがでしょうか。

(指図省略)(出典:Forbes)

 

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