
前回は税制のメリットのあるリタイアメントアカウントであるIRAについてのお話でしたが、今回は同じく税制メリットのあるHSA(Health Savings Account)についてお話します。
HSA(Health Saving Account)とは?
HSAは税優遇のある医療用貯蓄口座のことで、High Deductible Planと呼ばれる健康保険に加入している方が持つことのできるアカウントです。
IRAの医療費版のようなアカウントで、税優遇することによって個人の医療費の貯蓄を推奨し、怪我や病気の際にはその貯蓄から医療費を支払うような仕組みとなっています。
さらにIRAとの違いは拠出時と支出時両方にメリットがあり、医療費として使う限りはTraditional IRAのメリットとRoth IRAのメリットを両方受けられるアカウントになります。
各年度ごとに拠出できる金額には上限が設けられており、2021年は個人で$3,600、世帯で$7,200(55歳以上の方は+$1,000)となっています。HASに積み立てた金額は収入から控除され連邦所得税がかかりません。これが拠出時の税優遇です。節税効果は税率によりますが、例えば年収$100,000のご夫婦が2021 年に$7,200 拠出した場合$1,584($7,200×税率22%)程度の節税になります。
High Deductible Planとは?
HSAを持つための条件となるHigh Deductible Planの基準も年度によって異なり、2021年は、健康保険に定められているDeductibleが$1,400(世帯で$2,800)以上でかつ、医療負担上限額(Out of pocket maximum)が$7,000(世帯で$14,000)以下のプランに加入している必要があります。HSAへの加入は、401Kのように雇用主経由でする場合と、IRAのように個人で加入する場合があります。個人加入の方はTAX Return時にForm8889で申告します。
加入方法と使い方は?
HSAは銀行や投資会社、クレジットユニオンなどが提供しており、窓口やオンラインで開設が可能です。金融機関によって貯蓄や投資のオプションや手数料が異なります。(弊社ではHSAアカウントの取扱いはございません)
HSAに積み立てたお金はIRSの定める医療費のカテゴリーに該当すれば、アカウント内で発生したも含めて非課税で使うことができます。これが支出時の税優遇です。
病院での医療費に限らず、処方箋代や眼鏡やコンタクト等の眼科系の費用、歯科費用なども含まれます。ただし、High Deductible Planの健康保険の保険料は、HSAから支払うことはできません。
もちろん医療費に使わない場合、アカウント内にあるお金は翌年以降に持ち越すことが可能です。もしも、High Deductible Plan以外のプランに加入した場合、拠出はできなくなりますがアカウントを維持することは可能です。
ただし、メディケアはHigh Deductible Planではありませんので、メディケア加入とともに拠出は出来なくなります。
注意点は?
上記の医療費カテゴリー以外に使った場合には、通常のIncome TAXに加えて20%のペナルティーがかかります。ただし、65歳以上で医療費以外に使った場合Income Taxはかかりますがペナルティーはかかりません。また、あくまでも連邦政府の制度ですので、州の所得税(State income tax)の控除は受けられない場合もあります。(カリフォルニア州など)
HSAには貯蓄のみの口座以外に投資のオプションがあるため、元本が保証されないものもあります。また、アカウントの維持に手数料がかかることも多いのでHSAを選ぶ際には内容をきちんと確認、理解した上で、賢く利用しましょう。
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