
2020年6月編集
ソーシャルセキュリティーとは?
今回は、アメリカの公的年金制度であるソーシャルセキュリティーについてお話していきたいと思います。
ソーシャルセキュリティーはその名の通り、米国政府が行っている「社会保障制度」です。
リタイアメント時にもらえる老齢年金(Retirement Benefits)のことを思い浮かべる方が多いですが、その他にも障害を負って働けなくなった時の障害年金(Disability Benefits)や働き手が亡くなった場合の残された家族への遺族年金(Survivors Benefits)、低所得者保障(Supplemental Security Income)、メディケア(Medicare)など様々な保障制度があります。
ソーシャル・セキュリティーTAX
ソーシャルセキュリティーの給付を受けるためには、働いて税金を払いソーシャルセキュリティー「クレジット」を積み立てて行く必要があります。2020年度は1クォーター(3ヶ月毎)に$1,410を稼ぐごとに1クレジットが貯まり、年間4クレジットまで貯められます。
被雇用者の場合は、給料から天引きで徴収されています。ソーシャルセキュリティー税12.4%とメディケア税2.9%を雇用主と雇用者で半分ずつ折半して負担しますのでそれぞれソーシャルセキュリティー税6.2%、メディケア税1.45%となります。
2020年のソーシャルセキュリティーの課税対象収入の限度額は$137,700でこれを超えた部分は課税対象になりません。メディケアは限度額の設定はなく、全ての収入が課税対象となります。
自営業者の場合、ソーシャルセキュリティー税12.4%とメディケア税2.9%のトータル15.3%を負担します。
ソーシャルセキュリティーの保障内容
①老齢年金(Retirement Benefit)
後述するBenefit の受給資格を満たしていれば、62歳からRetirement Benefitとして毎月の年金を受けとることができます。
また、本人だけではなく「10年以上婚姻関係にあった配偶者」も配偶者のクレジットを使うことができ、こちらも62歳から年金の受給資格があります。例え離婚をしていても、10年以上の婚姻関係があり再婚していなければ、年金の受給資格が維持されます。
Full Retirement Age
老齢年金を満額受給できる年齢(Full Retirement Age)が生まれた年によって定められており、1937年以前の生まれであれば65歳、1960年生まれであれば67歳、その間の生まれの方は65歳から67歳の間になります。
Full Retirement Age一覧
前述のように62歳から年金の受給資格はありますが、もしも62歳から年金を受け取った場合Full Retirement Ageで受け取る場合よりも30%減額されてしまいます。(配偶者の場合は35%減額)
また、年金の受給は最大70歳まで繰り延べが出来、この場合はFull Retirement Ageで受け取る場合よりも24%増額されます。(配偶者の場合はFull Retirement Age以降の増額はありません。)
老齢年金Retirement Benefitの受給資格
納税者本人…40クレジット(約10年分)貯まっており、62歳以上であること
※日米社会保障協定により、
①米国で1年半(6クレジット)以上働き納税をしていて
②日米での年金加入期間が10年(40クレジット)以上
ある場合にも受給資格があります。
納税していた本人以外に老齢年金を受け取れる方
- 62歳以上の配偶者
- 16歳以下の子供がいる配偶者(年齢不問)
- 18歳以下の未婚の子供
- 離婚した元配偶者(10年以上の婚姻期間があり、かつ62歳以上)
次回は、ソーシャルセキュリティーの老齢年金の続きとして平均受給額や受給額の計算方法、また老齢年金以外ののBenefitについて詳しく説明いたします。