節税に使えるリタイアメントアカウント(IRA)

2022年2月18日 北カリフォルニアローカル紙(Jweekly)掲載記事

近年、日本でもIdecoやNISAのような節税のできるアカウントに注目が集まっています。
アメリカにも様々なリタイアメントアカウントがありますが、今回は個人で加入ができ、 「節税」という観点で使えるリタイアメントアカウントのTraditional IRAとRoth IRAについてご紹介したいと思います。

様々なリタイアメントプランの中でも401(k)は雇用主によって提供されるプログラムであるのに対し、通常よく話に出てくるIRAは雇用主とは関係なく、銀行口座のように個人が自分で開くものです。銀行、証券会社、保険会社など多くの金融機関がIRAの枠組みを提供しています。

 

Traditional IRA

Traditional IRAに積み立てる資金は、税控除(Tax deduction)の対象となり毎年の税金を節約することが可能です。(ただし控除には収入制限あり)また、投資の利回りにかかる税金が老後に資金を引き出すまで繰越される(Tax deferral)ため効率よく運用することが可能です。反対に、Traditional IRAの注意点は、引き出し時にその時点の税率によって課税されることと、あくまでもリタイアメント資金としてのTAXの優遇ですので、もしも59歳半前に引き出したり、その他一定条件を満たさない引き出しをすると、10%のペナルティが課せられます。(CA州税にも2.5%ペナルティー)また、72歳になった時点で、必要の有無にかかわらず、必ず最低額を引き出し始めねばなければペナルティという規定もあります。

Roth IRA

Roth IRAは課税後(After Tax)のお金で積立をするプランですので、積立時に税控除を受けることは出来ません。ただし、老後に受け取るときには利回り部分を含めた全額を非課税(TAX Free)で受取る事が可能です。老後の税率に左右されず、貯めたお金が目減りすること無く確実に受け取れるのが強みです。また、積立部分のお金はいつでも自由に引き出すことが可能ですので、家の購入や教育費に一部を使うことも可能です。(利回り部分に関しては5年間は引き出し不可、また59歳半前に引き出すとペナルティーがかかります)また72歳以降の引出ルールもないため相続対策としても使うことが可能です。

IRAの運用先

IRAは、401(k)などと同様、貯蓄・投資をするための枠組みプランです。IRAという枠組みのなかで、金融機関の提供する投資先を選択して運用をしていきます。一般的に、401(k)を通して選択することができる投資先に比べて、IRAを通して選択できる投資先のほうが多種多様であるという利点があります。

IRA積立のルール

個人で開くIRA(Traditional、Roth、Nondeductible IRA)への積立は合計で、一年につき$6,000(2022年の限度額。 50歳以上であれば+$1,000可能)までです。ただし、その年の収入がこれ以下である場合、その収入が限度額となります。

また、働いていない配偶者でも、一定の条件を満たせばIRAに積み立てることが可能です。職場で401(K)プランなどのリタイアメントプランに参加されている場合、総所得がIRSに定められる基準を上回ると、積立はできても、所得控除の対象から外されてしまいますので注意が必要です。

まだ間に合う?2021年の税控除

Traditional IRAの最大のメリットは、積み立てる資金は、所得税控除の対象となることです。たとえば、所得税率が24%の人が$5,000を積み立てる場合、$5,000×0.24=$1200の所得税が節約できることになります。

IRAには収入の上限はありますが個人でアカウントを開設することが可能で、また積み立ては一年を通していつでもできます。締め切りは通常、翌年の4月15日(年によっては多少ずれることもあり)です。2021 年のIRAへの積み立ての締め切りは2022 年4月15日です。つまり2022年4月15日に積み立てたとしても、2021年度のタックス・リターンで税控除を受けることができるということです。とはいえ、締め切りぎりぎりにならないように早め早めに動くことをお勧めいたします。

 

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・Traditional IRA
・Roth IRA

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